映画「エクスマキナ」感想

youtubeで偶然「WOWOWぷらすと」という面白い番組を見つけて、その中のSF特集で紹介されていたので見てみた映画。

しかーし。

はっきり言って、ものすごく薄味で全然楽しめませんでした。

この映画よりもぷらすとの方が五倍くらい楽しかった。

個人的には情報量を三倍くらい突っ込んで欲しかった。

以下、文句だらけの突っ込みどころ。

◆演技面

・全体的にわざとらしすぎる

・主人公が嘘をつくシーンがあまりにもあからさますぎ。あそこはもっとしたり顔で嘘をついている演技でよかったはず。そういう感じで、すべてが大味すぎ。

・社長がとても天才エンジニアには見えない。AIを本気で作ろうとしているエンジニアなら、あんな酒飲んでないで一刻を惜しんで設計に勤しんでいるだろうし、そもそもこんな馬鹿げた実験はしない。(もっといろいろやりようがある)

◆設定面

・そもそも、なんであんな僻地で実験する必要があるのか不明。AIとかロボットの実験なんて普通にビルの一室でやればいい。あんなところでやる必要性が全く無いし、実際には下記に示すようにデメリットしかない。

・まず、ロボットを作るには大量の部品が必要であり、しかもこの作品の中のロボットは明らかに特殊素材を大量に必要とする。(皮膚・透明なボディ・謎の動作機構)「全部3Dプリンタでつくるんだ」と主張する人も居るだろうが、実際には3Dプリンターで作れる物には素材などの制限があるので、ほとんどの部品はカスタムでどこかの工場に作ってもらうのが現実的。そうなると、ヘリも近づけないような制限をかけている地域だと、部品納入に時間がかかって開発が遅延して仕方が無い。よって、あんなところで開発するのはデメリット以外何もない。

・あの別荘に人間は社長一人しか居ないように見える。しかし、大規模ソフトも複雑なハードも、どんな天才でも一人でやっていたら途方もなく時間がかかる。作中を見ていると少なくとも1年に一体以上のペースで作っていると思われるので、一人じゃまず無理。なんで、「孤高の天才が一人で作りました」モデルを採用するのか。それはあきらかにリアリティがない。

・ロボットが外に出たくて暴れて壊れるシーンがあるけど、そこまで暴れたら止める仕組みをボディの方に入れておくはず。さらに、部屋を出て人を襲いだしても、社長に止める手立てがない。人間に危害を加える可能性がある機械に、緊急停止機構を入れていないのは明らかにおかしい。あんな高度なロボットを作れる人間がそんな馬鹿なはずがない。

・そもそも、社長はAIの動きを映像で見ているだけだけど、本来は内部パラメータとかボディのアクチュエータとかもモニタリングするはず。そして、必要に応じてパラメータを書き換えたり停止したりできるようになっているはず。そうじゃなきゃ、ちゃんと動くまでの間、どうやって開発してたんだ。そして、そういう開発環境が絶対にあるはずなので、勝手に動き出したら止められないとかあり得ない。

・社長が「AIは君を騙しているのかも」とか言っているけど、そんな議論をする前に、AI内部のパラメータを取り出してどういう思考をしているか解析しろや。エンジニアだったら、自分が作った物がどう動いているか解析しようとするはずだし、そういう解析手段もないようだったらそもそもあんな高度なAIは作れない。

という感じで、個人的に突っ込みどころたくさんで、「文系が考えた嘘エンジニア(社長)」があまりにあほくさくて全く飲み込めなかった。

なんじゃい、こりゃ。

もうちょっと、理系人間でもだませるようにうまく作ってくれ。

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